壱岐サイクルフェスティバルロードレース その3

「スタート30秒前、、、、10、9、8,7,、、、、パーン」ピストルの音でスタートです、ヘタレももうここまで来たら力一杯です、ものすごい渋滞のまま隊列が加速してゆきます、中央線から反対車線に膨らみ先頭集団を形成しつつあるコロニーに追従!(完全に交通規制されてますから道路貸し切り状態です)このスタート直後の団子状の時には接触事故が起きやすくシビアなマシンコントロールが要求されます、予想通にかなりのスピードです、みんな当たり前みたいに前を見据えて無言でダッシュしています、なにやらレースプランがあるのかも知れませんがこっちには作戦も何もありません、パワーをためておいてどこでどうとかそういう余裕は一切ありません、初めっからずーっと終わりまで全開フルパワーでばいーんと行くしかありません、途中で燃え尽きるかもしれないけど、、、。
 僕のチャリにはメーターが付いていないんで後で聞いた話ですがこのときの速度は時速40キロを軽く超えていたそうです。自転車レースでは集団の中や他の人の後を走ることにより風の抵抗を無くして楽に走れという鉄則があります、だからどうにか集団、もしくはどなたかにくっついて走りたいのですがスタート10分もするとさすがにヘタレの本領発揮です、じりじりと集団からずり落ちて行きます、それでもどうにか頑張ってついて行かねば!そうです昨夜の作戦会議でも出ていた自己のモチベーションを上げるための究極の手段!お姉さんの後を走る作戦に出てみました、しかしながらいかんせんみんな同じ事を考えているのかそのポジションは大変競争率が高くなかなか譲ってはもらえません、しかし本来の目的である誰かの後をついて行くという御利益は少しうしろでも達成できますので精一杯頑張ってついて行くべく努力をしますが、、、、このお姉さん方が結構速いんです、ここは贅沢は言っていられませんどうにか集団から離れないように、もしくは誰かの後についていくんだー、、、。
 とまあ頑張っていたわけではありますが10キロも過ぎた頃には集団はばらけ、かくいう私も独走状態になりました、みんな誰しも同じ事を考えているんでしょうが各人極限状態でのペースはバラバラですしもうこのあたりになるとそうそう無理も利きません、時々追い越されたり追い越したり、追い越されるときには一応しばらくは追従してみますがなかなかずっとというわけには行きません。しかも襲い来る急坂に翻弄されます、沿道で応援して下さる皆様にお答えするにももう声が出せません、頭を上下に振るのが精一杯です、苦しさに耐えかねてギヤを一段ずつ落として行きますがほどないうちにリアスプロケットは一番大きなギアに、後の頼みは前のギアをいつインナーに切り替えるかです、でもそれから上はもうありませんからともかく必死でこぎ続けます、登坂では着座したままで漕いでいるときと立ち漕ぎのときとでは使う筋肉が違うらしく座っていて苦しくなったら立って漕ぐのも良いと本に書かれていたのを読んだことがありますのでそれも織り交ぜパワー全開です!(といってもあまり早くはないのですが)
d0135445_23525923.jpg

     湯ノ本付近、中間地点あたりを疾走するわたくし
     既に集団からずりこけて独走状態です

 昇りは昇りでとんでもなく大変なのですが、その後に来る下り、これも半端じゃありません、強烈な下り坂、しかも狭い、舗装が凸凹、道の真ん中を排水溝が横断(金属の蓋)、開いたままの大きな側溝、ブラインドコーナー!それはなかなかの恐怖であります、下りでは精神を統一し、まるでスキーの大回転のように鮮やかかつ無駄のない、極力ブレーキングをしない、そして安全な、、、。という事を目指して走ります、いくら貸し切りの道路でブラインドコーナーから対向車は来ないとはいうもののカーブを曲がったところに自転車が転んでいないという保証はどこにもありませんので細心の注意を払っての走行です。後半に入り下り坂の終わりがけには故障車や故障者、何らかのアクシデントにより途中棄権した選手もちらほら見かけます、上位入賞を狙う選手達はこの過酷なコースで極限に挑んだのでしょうか、怪我がなければいいのですが。ついに遭遇しました、一人の選手が自転車ごと道路左側の大きな側溝に落ちています、周囲には同じジャージーの選手達、伴走車の白バイも止まっています、走行状態と同じ姿勢で自転車には跨った状態ですしなにやら周囲の人と話しています、どうやら怪我はなさそうに見えますが、思わず「大丈夫ですか?」と声をかけブレーキをかけようとした瞬間に左後ろから悲鳴が聞こえました、なんと僕は気づいていなかったんですが女性の選手が僕の後ろを追走していたようです、咄嗟にブレーキを放しました、彼女は上手いこと左側を追い越してゆきましたが危うく事故を誘発するところでした、初めてレースに出るにあたって自転車屋さんから「集団の中では絶対にブレーキをかけてはいけません、後続車が追突して事故を起こしますから」と教えられていたのを思い出しました、集団の中でなくてももともと走行音がしない自転車は何時でも後続車があるものと思っておかねばならないようです、反省であります。この事故現場に於いて僕が特に協力出来ることは無いと判断してレースに戻ります、またもや急激な昇り坂にさしかかりました、しかも長―い坂、だんだんギアを落としながら登ります、ともかくキツい、限界です、ここで立ちこぎに切り替えて更に勢いを付けて登ります、かなり登りましたがこれも限界、再度座ってこぎます、もうしばらくで上り詰めるかなというところで右側からゆっくりと年長者の方が追い越して来ました、見ると僕と同じメーカーのチャリです、「珍し自転車ですね」という話からどこから来たのみたいな話まで、息も絶え絶えですがどうにか喋ることが出来ました、大分の竹田からおみえになったそうですが、この方、僕と会話を交わした後さくっと立ちこぎに切り替えてすごい勢いで坂を上って行ってしまいました、各人得手不得手、ペースというものが有るんですね、唖然としました、後で調べたらヒルクライム向きの超軽量モデルでしたが、それにしてもねー。
 暫く走ると長い平坦な道に出ました、ここは覚えがあります、昨日下見で走ったゴールの坂の手前にある見通しの良い道です、ここ迄来るともう少しです、ペダルを回す足に自然と力が入ります、自分でもここは結構な速度で走れたと思います(昨日はここでまるで停まっているかのように追い越されましたが)、後でH田氏が「低く空を飛んでる感じ」と言っていましたがまさにその感覚です。暫くその感じを楽しんだ所で遂に最後の上り坂に来ました、さー登るぞー!と力みかけたところで右後ろから年長者の女性が追い越して行きました、しかも振り向きざまに笑顔を振りまいてくれました、今回のレースで選手から笑顔を貰ったのは初めてです、さあこうしてはいられませんここは力の限りダッシュです、即座に立ち漕ぎに切り替えて上り坂を加速します、全開です!もちろん先程の女性は程なく追い越してぐいぐい登ります、2段坂の前半急坂はなとか速度を落とさず登れました、さらに少しの平坦を挟んで再度上り坂、ここの上はゴールです、もちろんパワー全開です、でも、もうさすがにへろへろです、フロントギアをインナーに落とし万全の構えで登りますが加速はできません、沿道には既にゴールした選手がちらほら応援してくれます、止まらないように必死で何とかゴールです、ゼッケンに付けたICタグに機械が反応して電子音が鳴りました、終わりです、遂に完走できました。
さてH田氏はどこでしょう?スタートの団子で見失ったままで、僕より前にいるものとばかり思っていた氏は、僕のゴール後暫くして到着しました、どうやら今回の本番は不調だったようです、僕にもましてへろへろです、でも落ち着いてから試しに僕のチャリに乗せてみるとこの結果に彼も納得したようです、実は重さがだいぶ違うんです、それが一因だったんでしょうね。
 ともあれ今回のリザルトは予想タイムより遙かに早かったんですがそれでも50歳台完走78名中63位という余裕のない順位でした、1時間4分台、平均時速30キロ弱です、まあ今回は完走が目標で、しかもロードレーサーに乗り始めて未だ2ヶ月ほどしか経っていませんのでこれでも満足すべきかも知れませんね。大会終了から時間が経つにつれ充実感が膨らんで来ました、苦しかったことが薄れて楽しかったことだけがだんだんと浮き彫りになってきます。今回は晴天に恵まれ、風もなく、特に酷暑でもなく最高のコンディションでしたので特に幸運でした。お世話になったH田氏と「また来年一緒に走ろうね、今度はもっと多く仲間を連れて」と子供のような約束をして芦辺港発の高速船に乗ったのでありました。

d0135445_23531122.jpg

     ゴール前の急坂を駆け上るH田氏
     こーんな坂がいくつもありました
[PR]

by watdent | 2012-06-21 00:02 | ちゃり  

<< 週末の徘徊 壱岐サイクルフェスティバルロー... >>